月光族

感性豊かすぎるお嬢さま雑誌『月光』始末記。LGBTの精神分析的説明など。

女はどこまで男になれるのか?




結論から言うと、これは心理学の課題ではなく、ほとんど個人の好みやファッションの課題です。男が女になりたいという願望には、無意識の「母親同一化」が絡んでいますが、女が男になりたいという願望には、そのような無意識は絡んでいません。


女がイヤで男になろうとする人もいますが、この場合本人の意識としてイヤなのであって、それには明確に認識できる理由があります。これにより戸籍変更を望むのは「FtМ」という人たちです。何らかの明確な意識的理由により。男になりたいと希望しているわけです。


「男はどこまで女になれるのか?」では女性ホルモン剤の話をしましたが、男に対する女性ホルモン剤の効果は、あまり期待できないことも、かなりあるのです。一方、女が男性ホルモン剤を使った場合は、効果てきめん。男の数倍は効き目があります。たちまち美形の男に変身します。ヒゲも生えてきます。


戸籍云々は関係なく、ほとんどファッションで男装している人もいます。こういう人たちは、「ボーイッシュ」と呼ばれます。昔は関西でこのように呼ばれ、関東では「おなべ」(おかまの派生語)と呼ばれていましたが、いまはボーイッシュで統一されています。ボーイッシュはレズビアンのように感情が抑圧されていることはないのが普通です。カラオケでも感情豊かに歌うことができます


ただ、女は男とは違って、物事の認識が深いので、変身の仕方も徹底しています。徹底しすぎて、着流しでドスを持っているという、昔のヤクザみたいなボーイッシュがいたという噂が立つほどです。男として彼女と結婚の約束をし、バレたという事件もありました。


私もボーイッシュと付き合ったことがあります。「彼」は大阪に住んでいて、私は東京から車で会いにいっていました。500㎞ありますから、到着したときにはもうフラフラです。それなのにこの人ときたら、私の車に乗り込むやダッシュボードに足を投げ出して「そこ右! そこ左!」と傍若無人に私に命令するのです。「彼」はタクシーの運転手。高野山へ連れていってくれたことがありました。すごいカーブが続くので私が悲鳴をあげると、「対向車よりその悲鳴のほうが怖い」などと平然としているのです。こんな調子なので、「彼」に友達はいませんでした。もっと思い遣りをもってくれたら、いまでも付き合っていたかもしれません。もちろんボーイッシュはこんな傍若無人な人ばかりではなく、やさしいボーイッシュもたくさんいます。


ボーイッシュは一般の男と違って、エディプスコンプレックスがありません。つまり男尊女卑ではありませんし、痴漢の要素も皆無です。竹久夢二のように、女心のわかる人なのです。


ボーイッシュになるには、必ずしも男性ホルモンを使う必要はありません。日焼けするとか髪型を変えるとか、ちょっとした工夫で外見を男にしているボーイッシュもいます。声も、私の知っている限りでは、わずかにソフトかと感じる程度。まったく自然に男だと納得してしまいます。


大きな胸はどうしたらいいでしょう? その対策としては、「ナベシャツ」というのがあります。これを着用すれば、胸は圧迫されて、ペシャンコに見えます。男性ホルモンを使えば、胸は平らになり、乳首も小さくなります。上半身は裸でも、女には見えません。セックスをする時でも、自分は触らせず、攻めに徹すればバレることもないわけです。


「私は女として女を愛するのであって、そのために男装する必要はない」と、レズビアンは主張します。さすが頭脳派。でも愛されるほうのビアン(ネコ)は、バイセクシュアルかストレートという場合が多いのです。容姿が女のビアンから「愛してる」などと告白されたら、ストレート寄りのネコは、悪くするとフリーズしてしまいます。この点では頭脳よりも感覚的なボーイッシュのほうが、相手を見つける戦略としては有利です。


男装している女にとって、一番心配なのは、トイレの問題です。どっちに入ったらいいのかわかりません。女子用トイレに入れば、下手をすると大騒ぎになってしまうかもしれません。痴漢性もないのですから、私としては男子用トイレにしたほうが無難だと思います。

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